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第56話 弱々しい奇襲①

Author: 霞花怜
last update Last Updated: 2025-07-05 19:00:46

 講堂に理玖を残して、晴翔は研究室に戻った。

 スマホを確認しても、真野から連絡は来ていない。

(今、メッセ入れても、真野君も講義を受けてるかな。でも念のため、聞いておこう)

 積木大和から真野に連絡がなかったか、確認のメッセをしながら、第一研究棟二階の廊下を走る。

「國好さん、栗花落さん!」

 二階の理玖の研究室前に立っている警備員二人に声を掛けた。

「第三学生棟五階の大講堂で理玖さ……、向井先生が講義中なんですが、警備に付いてもらえませんか」

 息を切らして走ってきた晴翔を眺めて、國好と栗花落が顔を見合わせた。

「わかりました。俺が……」

「俺が行ってきますよ。空咲さんは、この後も部屋でお仕事でしょ? 二人とも空ける訳にはいかないんで」

 笑顔で手を上げると、栗花落が小走りに学生棟に向かった。

「何か、ありましたか?」

 國好が冷静に晴翔に問う。

 その疑問は、御尤もだと思う。しかし、説明に困る。

「何かあった訳では、ないんですが。何かあったら嫌だから」

 國好が晴翔をじっと見詰める。

「わかりました。俺はこのフロアを警備していますので、何かありそうなら、声を掛けてください」

 國好が目を逸らした。

「ありそうな予感、でもいいので、声を掛けてください」

 晴翔は國好をぼんやり見詰めた。

 夜間警備で一緒の時も、滅多に冗談を言わない、口数の少ない人だ。

 國好から出た言葉が、意外だった。

「ありがとう、ございます……」

 小さく頭を下げて、晴翔は部屋に入った。

 自分のデスクのPCを開く。

 職員用のページから、学生の受講履歴を調べ始めた。今日の理玖の講義なら、始業時の学生証のタッチは既に反映されているはずだ。

「内分泌内科WO 向井理玖……、深津君はタッチしてないな。……積木君も、出席してない……?」

 始業時の学生証のタッチを忘れたのだろうか。

 深津は姿がなかったから当然にしても、確
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